2009 Fiscal Year Annual Research Report
水資源開発史における「共」「公」「私」に関する研究:農業水利を事例に
Project/Area Number |
20830019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 美紀子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (80463884)
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Keywords | 農業水利 / 水資源開発史 / 「公」「共」「私」 / オーラルヒストリー / 水資源管理 / 水利用と治水 |
Research Abstract |
本研究は、河川行政からの水資源管理に「利用」(ここでは農業水利)という視点を加えることで、水資源開発史の再構成および新たな知見の獲得を目的としている。具体的には、「共」「公」「私」という管理主体別の三つの視点と時間軸(明治前期・後期・第一次大戦後・第二次大戦後)によるマトリックスモデル化を目指している。本年度は、水資源「利用」(water-use management)との比較対象として「治水」(flood-control)に着目し、その管理主体である水防組合の推移および運営について調査を行った。「利用」と「治水」は表裏の関係にあり、もともとは「ムラ」を基盤としたほぼ同じ管理主体でありながら戦後は異なる道を辿る。その結果を昨年度取り上げた国営農業水利事業の事例と比較検討し、その成果をLessons of Water Resource Management from Perspectives of Irrigation Water-Use Management and Flood Control: A Case Study of Japan after World War IIというタイトルでThe project on strengthening post-conflict peacebuilding through natural resource management Vol.3(the Book, Environmental Law InstituteとUNEPの共同出版)の一章へ載せることになった(2010年末までに出版予定)。また、国連大学・東京大学共催によるセミナー(UNU-IAS and University of Tokyo Joint International Seminar: Natural Resources and the Environment: Implications for Conflict Resolution, Peacebuilding, and Livelihoods, UNU-IAS, Yokohama)で"Water Resource Management, Agricultural Productivity, and Flood Control: A Case Study of Japanese Water Projects after World War II"としても発表された。オーラルヒストリーの取りまとめは、前年度同様、文献検討を中心に行うことに計画を一部変更した。作業を継続しつつ成果の一部は、水資源・環境学会研究大会(6月)「これからの農業水利を考える」において『農業水利における現代的諸問題:経済と環境という軸のはざまで』として発表された。また、アジア経済研究所・資源研究会(7月)において『農業水利研究の系譜:オーラル・ヒストリーの手法を用いて』との題で講師発表として共有された。
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Research Products
(3 results)
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[Book] Social Capital, edited by Tripp, G., et al.2009
Author(s)
(分担執筆)Yamaoka, K., Groenfeldt, D., Asano, K, Sugiura, M.
Total Pages
316
Publisher
Nova Science Publishers Inc., New York