2008 Fiscal Year Annual Research Report
望ましい学校選択制度設計:マッチング理論によるアプローチ
Project/Area Number |
20830024
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
安田 洋祐 National Graduate Institute for Policy Studies, 政策研究科, 助教授 (70463966)
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Keywords | 経済理論 / 学校選択制 / マッチング / ゲーム理論 |
Research Abstract |
学校選択制は今日最も活発に議論が行われている政策問題のひとつであり、わが国でも選択制導入に伴う生徒の学力の変化や、学校間格差に与える影響等に関する実証研究が既に行われている。これらの国内研究が、選択制を採用している学区で用いられているメカニズムを“所与として"その影響を分析しているのに対し、本研究は「どのようなメカニズムを用いるのが望ましいのか?」という“メカニズム選択の問題"をゲーム理論、とりわけマッチング理論の視点から分析する、という独創的なものとなっている。本研究の目的は、最近わが国でも関心を集めている学校選択制に焦点を当て、既存のマッチング理論を学校選択固有の問題に対応できる形に拡張・発展させると共に、理想的なメカニズムの設計・提案を通じて政策提言を行うことである。平成20年度は、この目的の大部分を達成する研究成果をAbdulkadiroglu教授(米デューク大)およびChe教授(米コロンビア大)との共同研究である"Expanding`Choice'in School Choice"としてワーキングペーパーの形にまとめた。本論文は、従来のマッチング研究でほとんど考慮に入れられてこなかった“弱い"選好の存在する状況で生じる非効率性を、新たな“事前の評価基準"を導入することで理論的に明らかにしている。さらに、既存のマッチング・メカニズムを改良した独自のCADA(=Choice Augmented Deferred Acceptance)というメカニズムを提唱し、その望ましさを理論・シミュレーションの両面から示しており、学術的な貢献のみならず極めて政策的含意に富んだ研究となっている点が特徴的である。平成20年度は国内の6ヶ所で、この論文で得られた知見をセミナー形式で報告した。
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Research Products
(7 results)