2008 Fiscal Year Annual Research Report
母親の内的ワーキングモデルと抑うつ傾向が子どもの気質認知に与える影響について
Project/Area Number |
20830026
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
高橋 靖子 Joetsu University of Education, 大学院・学校教育研究科, 助教 (20467088)
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Keywords | 内的ワーキングモデル / 乳児の気質 / 産後抑うつ / Adult Attachment Interview / 縦断研究 |
Research Abstract |
本研究では、近年問題となっている養育者の抑うつ傾向や育児不安の高さに着目し、内的ワーキングモデル(自己および重要な他者に関する愛着表象)や出産した子どもに対するとらえ方や関係性の発達との関連について縦断研究を行う。 一般に妊産婦の抑うつ傾向が強い場合、出産後の子どもの気質認知がネガティブになりやすいとされる。それに加え本研究では、安定的で対人親和的な内的ワーキングモデルであれば、抑うつ傾向の高い母親の子どもに対する気質評価や関係性の偏りが緩和されるという仮説を立てた。内的ワーキングモデルについては、成人愛着面接(Adult Attachment Interv iew)を用いて測定し、抑うつ尺度や気質尺度の他に、出産時の状況、ソーシャルサポート変数もあわせて、妊娠期に面接および質問紙調査、生後6か月時に質問紙調査を行った。 1999年より2006年までの縦断研究の結果より、妊娠期の母親の内的ワーキングモデルがソーシャルサポートや子どもの気質認知と一部関係していること、そして子どもの気質に対する母親の認識と母親の抑うつ傾向・育児不安との関連に内的ワーキングモデルが関与していることが明らかとなった。 今後、養育者と子どもの早期関係性障害における心理的援助として、2者関係や家族間の関係に直接介入するだけでなく、養育者の被養育体験についても配慮し養育者自身の内省的な自己を育てる必要性があるだろう。
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