2009 Fiscal Year Annual Research Report
母親の内的ワーキングモデルと抑うつ傾向が子どもの気質認知に与える影響について
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20830026
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
高橋 靖子 Joetsu University of Education, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (20467088)
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Keywords | 養育者の内的ワーキングモデル / 子どもの気質について認識 / 育児不安 / 養育者の内省機能 / 未解決の心的外傷 |
Research Abstract |
本研究は、養育者の抑うつ傾向や育児不安の高さが、子どもの気質についての認識や子どもとの関係性に与える影響について、内的ワーキングモデルを媒介させて実証的に検討することを目的とした。 まず、妊婦の愛着表象と子どもの気質の認知を通じて抑うつ傾向や育児不安に及ぼす影響、および愛着表象と知覚されたソーシャルサポートの関連について検討した。妊婦62名に対してAdult Attachment Interview(AAI)を実施し、妊娠時と出産6か月時に質問紙調査を行った。AAIが安定型の母親は不安定型の母親と比べ、出産後のソーシャルサポートが高くなる傾向がみとめられた。さらに、扱いにくい気質傾向を持っていると乳児がとらえられた場合に、安定型の母親よりも不安定型の母親において、育児不安が高まることが示された。これらの結果より、愛着表象に焦点をあてた育児困難を感じている母親や家族に対する心理的援助について考察した。 次に、登校しぶりや摂食障害傾向の子どもとその親に対する援助事例より、養育者の内的ワーキングモデルのあり方や内省機能が子どもの情緒障害の発生や経過に与える影響について探索的検討を行った。登校しぶりの子どもに関して、来談した両親との臨床心理面接およびAAIにおける語りより、子どもの心的状態の理解についての母親の内省機能と子どもの情緒的問題の改善との関連について検討した。 今後はさらに、養育者の未解決の心的外傷に注目して彼らの精神的健康や子どもの成長変数との関連を解明し、臨床的援助に有用な知見を提供したい。
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