2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830031
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
八田 幸恵 University of Fukui, 教育地域科学部, 講師 (60513299)
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Keywords | 米国 / 教師教育 / 教師の専門性 / アカウンタビリティ / スタンダード |
Research Abstract |
本研究の目的は、1980年代以降の米国における教師教育論の到達点と課題を明らかにすることである。1980年代以降の米国においては、スタンダードに基づく教員養成が主流になっている。これはつまり、教員養成の共通教育目標を明示化し教育活動を行うことで、教員養成を行う大学としてのアカウンタビリティを果たすということである。全米で参照されている教員養成段階のスタンダードとしてNCATE (National Council for Accreditation of Teacher Education)のスタンダードがある。 そこで平成20年度は、NCATEスタンダードを訳出し、その詳細を把握した。次に、NCATスタンダードの理論的基盤であるダーリン=ハモンド(Darling=Hammond)およびショーマン(Shulman)の教師の力量形成論を分析視覚として、スタンダードを検討した。 その結果、次の点が明確になった。NCATスタンダードは、教科内容についての知識と教えることについての知識の中間領域にある「教えることを前提とした教科内容についての知識」を、教師に必須の知識として位置付けている点である。第二に、知識だけでなくその習熟状態を示す用語によって目標を記述しており、行為能力まで視野に入れて評価しようとしている点である。第三に、教師候補である学生の個々人に対する目標だけでなく、それを支える大学教師団、設備、臨床経験を提供する学校についてもスタンダードを設定しており、文脈の中で力量を形成していくという考えが色濃く反映されている点である。日本における教員養成スタンダードは、教師が教室で行う活動に焦点を当て行動目標として記述される場合が多いが、文脈の中で自律的に判断する教師を育てる場合、以上のような視点を持ってスタンダードを策定していくことは非常に重要となる。
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