Research Abstract |
1.研究対象 特に,新たに注目され始めたヒト由来の生体素材の利用に関する問題,治療的クローン技術に関する問題,臓器移植医療に関する問題を対象として,国内外の研究者との情報交換をし,欧州圏における議論を中心に,基礎的資料の収集及び整理を行った。 2.実施内容 平成21年4月においては,早稲田大学で開催された「ヒト由来物質をめぐる法的課題」を検討する研究会に参加し,ドイツ・アウグスブルク大学教授のヘニング・ローゼナウ氏とドイツと日本の法整備に関する情報収集を行った。そこでの交流を通して,平成21年7月に,日本でも改正が成立するに至った「臓器移植法」に関して,示唆に富む情報提供を受けたことから,ローゼナウ氏の論稿を訳出し,それを平成22年10月に公刊することができた。 また,上記「研究対象」に関わる内容に関する教科書『レクチャー・生命倫理と法』(法律文化社)を,共著者として執筆し,平成22年2月には,それが出版されるに至った。更に,薬剤師への法学・倫理学教育に関する教科書『薬剤師のモラル・ディレンマ』(南山堂)を,共著者として執筆し,そこでは,上記「研究対象」における成果を踏まえて,薬剤師向けに,最新の医事法に関する情報を提供した。この著作は,平成22年2月に,出版されるに至った。今後は,これらの教科書の成果を踏まえて,それを用いたシンポジウムを静岡大学の同僚と共に,全国で展開していく予定が組まれている。 以上における問題対象・問題関心について,それらを批判的に検討すると同時に,幾つかの研究論文をまとめた。
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