2008 Fiscal Year Annual Research Report
韓国における才能教育に関する研究-高校早期卒業および大学早期入学制度を中心に-
Project/Area Number |
20830044
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 裕之 Kyoto University, 高等教育研究開発推進センター, 助教 (30512016)
|
Keywords | 才能教育 / 飛び級 / 飛び入学 / 早修 / 韓国 |
Research Abstract |
本年度は、「第1次国家人的資源開発基本計画」や「英才教育振興総合計画」など韓国の才能教育に関連する政府報告書や教育計画、および政府の委託によって大田市教育庁が作成した早期進級・卒業制度のガイドラインを分析し、高校早期卒業および大学早期入学制度が推進されている政策的背景を探った。また、複数の高校の早期卒業制度に関する学校運営規定を入手し、内容を詳細に検討した。その結果、以下の2点が明らかになった。第1に、政府としては1990年代半ば以降の国家的な才能教育政策の一環として早期卒業制度を導入した。その狙いは、21世紀の知識基盤社会を先導する優秀な人材を早期に発掘することにあり、計画上は特に対象分野は限定されていないものの、実際には、国家競争力向上のために、数学・科学分野に重点が置かれていることがうかがえた。第2に、早期卒業の認定は多くの場合、数回のペーパーテストの結果によっておこなわれており、上級学年段階の科目履修は原則として生徒の自習によって遂行されることとなっていた。また、大学側が早期入学を許可した場合、早期卒業の基準に達していない生徒であっても救済措置が講じられ、最終的に早期卒業を認定されるケースもあった。こうした規定の下では、優秀な生徒にとって学年を「飛ばす」ことは比較的容易であるが、「飛ばす」ことになる学年の科目内容を生徒が早期かつ体系的に履修するための体制整備は不十分であるといえ、今後は早期卒業者の質保証が問題となると考えられた。
|
Research Products
(2 results)