2009 Fiscal Year Annual Research Report
韓国における才能教育に関する研究-高校早期卒業および大学早期入学制度を中心に-
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20830044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 裕之 Kyoto University, 高等教育研究開発推進センター, 助教 (30512016)
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Keywords | 才能教育 / 飛び級 / 飛び入学 / 早修 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究の目的は韓国における才能教育、特に高校早期卒業および大学早期入学制度に焦点を当て、その特質を制度的・政策的側面から明らかにすることにあった。本年度は、昨年度に続いて研究課題に関する調査を進めるとともに、これまでの調査・研究結果を総合し、次の4点を明らかにした。 (1) 制度的にはすべての高校において早期卒業が可能であり、大部分の大学が早期入学者の志願を許可していたが、実際には高校早期卒業・大学早期入学者の多数が科学高校の卒業生であり、彼らの進学先も一部の威信の高い大学に限られていた。 (2) 早期入学者に対象を絞った特別選抜を実施している大学と、比較的早期入学者が受験しやすい選抜方式を設けている大学の両方が存在した。また、早期入学制度の実施に対して積極的な大学とそうでない大学が存在した。ただし、募集分野には共通して理工系への偏りがみられ、大学側が科学高校の卒業生を早期入学制度の主たる対象として念頭に置いていることが分かった。 (3) 上級学年課程の履修認定は主に自習と筆記試験による評価に基づいておこなわれていた。また、最終的な早期卒業の認定は大学入試の合否に大きく左右されていた。早期卒業制度に対する科学高校教員の認識としては、教育期間が実質1年半しかなくなるため、教育課程の正常な運営が困難になるといった否定的な意見が多かった。 (4) 2000年以降、高校早期卒業・大学早期入学制度が、比較内申制廃止による科学高校生の進学ルートの縮小に対応し、一般大学に進学するための新たな方途として科学高校生に利用されていた。 これは、才能教育のためのアクセラレーションの機能を担うべく導入された同制度が、実施の過程において受験戦略として用いられていった側面があることを示している。
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Research Products
(1 results)