2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830046
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 直大 Osaka University, 法学研究科, 准教授 (80512970)
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Keywords | 不当条項規制 / 約款 / ドイツ法 |
Research Abstract |
本研究は、ドイッ約款法を題材とする比較法研究により、不当条項規制の効果確定のための判断構造を明らかにすることを目的とする。本年度は、1980年代ドイツにおいて大問題となった時価条項判決を素材に、条項規制により無効とされた部分がいかに補充されるのかという問題を検討した。その成果は、拙稿「ドイツ約款法における時価条項判決の問題について(1)・(2・完)--不当条項規制に関する一考察」阪大法学58巻5号113頁以下、6号(3月刊行予定であり頁数未定)にて公表した。以下、結論部分のみを簡単に紹介する。 無効部分補充の問題に関するドイツにおける判例・通説は、第一次に任意規定による補充がされ、それが適切でない場合に補充的契約解釈が認められるとしてきた。従来の我が国学説においても、この整理が参照されてきた。これに対して、本研究では、判例・通説に対する批判理論をも検討し、判例・通説が言うところの補充的契約解釈には、(1)そもそも無効な条項がなかったとしても妥当すべき規律を導くものと、(2)無効な条項が使用されたことを前提として、それがなかったとした状態に当事者(約款使用者)を拘束することが困難であることから認められる契約内容の調整とが含まれうることを指摘した。無効部分の補充は、(2)において独自の考慮が要求されるゆえに、当初から存在する契約欠缺の補充と異なる。そして、(2)においては、「無効な条項をどの程度尊重すべきか」という点が問題となる。このような区別を明示しない従来の整理は、見直されるべきである。もっとも、この区別が成り立つには、「無効な条項が存在しなかった状態」を確定しなければならない。この問題は、そもそも何が規制対象となる条項であるかという、本研究の計画において後半の課題として位置づけた問題と、深く関わるものである。
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Research Products
(2 results)