2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生方 雅人 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 助教 (00467507)
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Keywords | 高頻度金融データ / マイクロストラクチャーノイズ / 時間的従属性 / 共分散推定量 / 検定統計量 |
Research Abstract |
1分単位のデータや全ての取引が記録されるティックデータにみられる固有の特徴は,ビッド・アスクスプレッドの存在や価格変化の離散性,投資家の多様な取引行動といった市場の取引制度や取引メカニズムによって,日中の取引価格系列は資産の本源的価値と異なる可能性をもつという点である.この取引価格と本源的価値の乖離部分は市場のミクロ構造に起因することから,金融計量分析の分野ではマイクロストラクチャーノイズ,あるいはマイクロストラクチャーエフェクトと呼ばれる. 我々は取引価格を観測できるだけであって,その時点における資産の本源的価値とマイクロストラクチャーノイズを直接観測することは不可能である.このことが資産の本源的価値に基づく資産評価法をより複雑化させる.こうして,ボラティリティや共分散推定量を正確に評価あるいは推定するためにはマーケットマイクロストラクチャーノイズの特性を明らかにすることが重要となる.また,マーケット・マイクロストラクチャーの分野ではマイクロストラクチャーノイズの源泉となる市場の取引制度やメカニズムを解明しようと様々な理論モデルから実証研究が精力的におこわれているが,マイクロストラクチャーノイズを分析することで市場のミクロ構造分析に新しいインパクトを与えることが期待される. 今年度の研究では主に未解決な問題として残されているマイクロストラクチャーノイズの従属性を分析するために,2変量マイクロストラクチャーノイズプロセスの共分散推定量と共分散が有意かどうかの検定をおこなう統計量を提案し,その漸近特性を導出した. また,取引価格系列に不連続な跳び(ジャンプ)が観測される場合とマイクロストラクチャーノイズの外生性の仮定をゆるめた場合におけるノイズの共分散推定量の漸近的な性質を示し,有限標本特性をモンテカルロシミュレーションから分析をおこない,推定量の頑健性について議論した.
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Research Products
(4 results)