2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生方 雅人 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 助教 (00467507)
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Keywords | 高頻度金融データ / マイクロストラクチャーノイズ / 時間的従属性 / 共分散推定量 / 検定統計量 |
Research Abstract |
1分単位のデータや全ての取引が記録されるティックデータにみられる固有の特徴は、ビッド・アスクスプレッドの存在や価格変化の離散性、投資家の多様な取引行動といった市場の取引制度や取引メカニズムによって、日中の取引価格系列は資産の本源的価値と異なる可能性をもつという点である。この取引価格と本源的価値の乖離部分は、金融計量分析の分野ではマイクロストラクチャーノイズ(以降MMSノイズ)、あるいはマイクロストラクチャーエフェクトと呼ばれる。我々はその時点における資産の本源的価値とMMSノイズを直接観測することは不可能である。このことが資産の本源的価値に基づく資産評価法をより複雑化させる。こうして、ボラティリティや共分散を正確に評価あるいは推定するためにはMMSノイズの特性を明らかにすることが重要となる。また、マーケット・マイクロストラクチャーの分野ではMMSノイズの源泉となる市場の取引制度やメカニズムを解明しようと様々な理論モデルから実証研究が精力的におこわれているが、MMSノイズを分析することで市場のミクロ構造分析に新しいインパクトを与えることが期待される。 前年度の研究成果として論文に発表された内容を拡張した論文と、現実のデータに応用した論文が掲載された。MMSノイズの自己共分散推定量が取引価格系列に不連続な跳び(ジャンプ)に頑健な推定量かどうかを検証した。そして、秒単位で観測される高頻度データを用い、大阪証券取引所における主要30銘柄の取引価格に含まれるMMSノイズの従属性を分析し、マーケット・マイクロストラクチャーの理論研究との整合性について検証をおこなった。それに加え、高頻度時系列に関わるマーケット・マイクロストラクチャーの実証分析と、MMSノイズを考慮した資産の本源的価値の分散共分散行列を推計しリスクマネジメントに応用する研究をおこなった。
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Research Products
(8 results)