2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
湯之上 英雄 Chiba University of Commerce, サービス創造学部, 講師 (10509590)
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Keywords | 地方財政 / 市町村合併 / 公共政策 / アンケート調査 |
Research Abstract |
本年度は、少子高齢時代を迎えたわが国の公共政策、特に地方財政に注目して分析を行った。地方歳出についての実証分析を行うと共に、地方自治体の市町村合併に焦点をあてて研究してきた。世界でもっとも高齢化の進んだわが国では、国レベルだけでなく、地方自治体のレベルにおける対応が重要となってくる。地方自治体が市町村合併によってどのように財政改革を行ってきたのかを考察した。 まず、地方歳出に注目した湯之上・倉本・小川(2009)では、確率フロンティア分析を用いて,全国都市の費用関数を推定した。交付団体と不交付団体において,費用関数の構造が異なっていることを示した。定数項だけでなく、人口についての係数パラメータについても相違が存在していることが明かとなった。 次に、広田・湯之上(2009)では、市町村合併における歳出面の変化を決算額と類似団体別市町村財政指数表(総務省自治財政局)の分類を用いて算出した合成値を比較することで検証した。その結果、合併初期は一時的に歳出が増加するが、その後減少することや、その一方で歳出の削減幅は、合併経過年数を経るにつれて縮小することが明らかとなった。また経済的・制度的要因を考慮した分析を行うため歳出と合併経過年数の関係を検証するパネルデータ推定を行ったところ、前半の分析と同様に、合併経過年数を経るごとに歳出削減効果があるが、大きな削減幅ではない可能性であることが示された。 また、長峯・湯之上(2009)では、自治体職員に対してアンケート調査を行った。自治体職員の合併に対する評価は肯定派と否定派に分かれていること、職員の年齢層や従事した職種よって、合併への評価が異なっていることなどが明らかとなった。 本研究で得られた結果は、少子高齢時代における公共政策を担う重要な位置を占める地方自治体のあり方を議論する上で、新しい視点を与えており意義深いものである。
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Research Products
(3 results)