2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830052
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 真由美 Meisei University, 経済学部, 助教 (30452486)
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Keywords | 企業統治 / アクティビストファンド / 事業再生ファンド / 株主 |
Research Abstract |
現在、わが国では、株主の位置づけについて対立したふたつの見解が存在している。一方は英米型の企業統治を日本に根付かせようとする改革論者の見解である。この場合、株主の代理人たる経営者は、株主利益を最大化するために働かなくてはならないとされる。他方このような株主主権の発想は、日本企業にそぐわないとする見解も根強く残っている。企業が望ましいパフォーマンスを発揮し続けるために、企業への貢献度などの諸点で株主よりもコア従業員のほうがより重要であると指摘する見解や、(1)企業への愛着が強く(2)そこからの退出が困難である、という条件のもとに置かれた存在(企業に長期的にコミットする存在)こそ、企業統治および企業経営の主体となるにふさわしいとする見解がある。 このような、株主に対する認識が錯綜する状況の打開をめざし、私はふたつのタイプの株主が日本の企業経営に及ぼす影響を調査した。ひとつはアクティビストファンド、ふたつは事業再生ファンドである。 まずアクティビズムに曝された9社を対象としたインタビュー調査でわかったのは、ほとんどの企業がそうしたアクティビズムは企業経営を阻害するものだと捉えていたことでとある。つまり、長期的なコミットのない大株主が企業経営の重大な意思決定た参与することは、その企業にとって決して望ましい状態ではないということが示唆された。 また私は、経営陣による株主の交代を意味するMBO・EBOに関心を持ち、それをサポートする事業再生ファンドの調査も試みた。私が訪ねたのは関西方面で地域活性化を目的として活動しているファンドである。対象が限定されているので結論的なことを述べるのは避けなくてはならないが、様々な工夫の凝らされたファンドの活動は、地域企業にとって有益なものだと彼らからみなされていることがうかがわれた。なお残念ながら、時間の関係上、この調査に関する報告書はまだ作成できていない。
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Research Products
(1 results)