2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
神吉 直人 Kobe University, 経済経営研究所, 講師 (90467671)
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Keywords | プロジェクト組織 / 文化コンテンツ産業 / ケイパビリティ / 構造的空隙 / ネットワーク分析 |
Research Abstract |
1.雑誌編集におけるプロジェクート組織のマネジメントの研究 平成20年度は、文化コンテンツ生産に用いられるプロジェクト組織*のマネジメントに関して、巻込能力の概念枠組みを構築することを目的としていた(*申請時はネットワーク組織としていたが、事象をより正確に捉えるためプロジェクト組織に改めた)。この目的の下、『Meets Regional』誌編集部、および他誌編集者にインタビューし、知見をワーキングペーパーにまとめた(現在、査読付論文に投稿・修正中)。ここではプロジェクト組織のマネジメントに際して、ベストメンバーの選択には編集者によるネットワークの活用、成員のコミットメントを引き出すことに対しては組織の価値観を編集者が体現することが必要であることを示した。 2.デザインに関するプロジェクト組織のマネジメントの検討 議論の一般性を確保するため、同じくプロジェクト組織による製品開発を行っている家電製品のプロダクトデザイナーにインタビューを実施した。ここでは、携帯電話端末の開発において、デザイナーが技術的知識も理解し、デザインと技術の統合を担っていることがわかった。これは、MOTにおける重要概念である重量級プロジェクトマネジャーの議論に示唆を与えるものであった。 3.ネットワーク分析の技法-構造的空隙について 申請時には、巻込能力について量的分析を行うことも目的としていた。文献にあたる中で、文化コンテンツ産業を対象としたネットワーク分析でよく用いられるAffiliation Networkの手法が、同分析の重要概念である構造的空隙の計測には不適切である可能性が浮上した。そこで、構造的空隙の提唱者であるBurt(1992)の定義に立ち返るなどの留意点を示し、ネットワーク分析に関する国際学会で報告した。これは、ネットワーク分析の経営学への応用全般においても検討されるべき事項として重要であると考える。
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