2009 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア諸国における学校教育へのコミュニティ参加に関する国際比較研究
Project/Area Number |
20830059
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
正楽 藍 Kagawa University, インターナショナルオフィス, 講師 (40467676)
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Keywords | 比較教育 / 学校教育 / コミュニティ参加 / 東南アジア諸国 |
Research Abstract |
平成21年度は、平成20年度の研究成果をもとに、カンボジアとラオス、タイにおけるコミュニティ参加の実情を把握することを目的とした。特に、カンボジア(平成22年2月)とラオス(平成22年3月)、タイ(平成22年2月)におけるフィールドワークによる現地調査を実施し、教員や保護者、その他の住民が理解するコミュニティ参加のあり方や実情を明らかにした。その上で、教員や保護者、その他の住民によるコミュニティ参加を規定している要因を分析し、彼ら主導の参加をもたらすための方策を検討した。 カンボジアとラオス、タイに共通する課題として、学校委員会の機能があげられる。委員会は学校とコミュニティ(住民)をつなぐ役割を期待されているにも関わらず、政府から意思決定権を付与されていなかったり、コミュニティ単位の他の委員会と役割を重複していたりして、期待されている役割を果たしていない。一方、学校委員会の委員や教員は委員会の役割を正確に(政府の定めるようには)理解しておらず、単に学校の情報を住民へ伝えるだけの、決定権をもたない協議体としか認識していないことがうかがえた。 平成20年度から平成21年度までの研究結果を踏まえて、住民主導の学校教育へのコミュニティ参加を促す方策を検討した結果、次の2点が考えられる。(1)住民、特に、学校委員会の委員、そして教員によるコミュニティ参加の効果(退学や留年の減少、就学者数の増加など)の理解の促進、(2)学校委員会と教員への学校の意思決定権の理解の浸透。今後の研究課題は、これら2点を実現させるための方策を検討することである。
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