2008 Fiscal Year Annual Research Report
昭和戦前期における高等師範学校附属小学校の歴史教育実践に関する実証的研究
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20830060
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
福田 喜彦 Ehime University, 教育学部, 講師 (30510888)
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Keywords | 歴史教育実践 / 高等師範学校附属小学校 / 歴史教育雑誌 / 昭和戦前期 |
Research Abstract |
本研究の目的は,初等教育段階での授業諭に焦点を当て,歴史教育改革の代表的実践校であった東京高等師範学校附属小学校,広島高等師範学校附属小学校,東京女子高等師範学校附属小学校,奈良女子高等師範学校附属小学校での4つの歴史教育実践を教科教育学的なアプローチから考察するこである。 昭和戦前期における4つの高等師範学校附属小学校の実践は,大正自由教育期の理諭と実践を生かしながら,多くの小学校教師の理諭と実践に影響を及ぼしたものの,歴史教育については,教科教育学的なアプローチよる分析は十分になされていない。 そこで,初等教育研究会『教育研究』(東京高等師範学校附属小学校),学校教育研究会『学校教育』(広島高等師範学校附属小学校),児童教育研究会『児童教育』(東京女子高等師範学校附属小学校),学習研究会『学習研究』(奈良女子高等師範学校附属小学校)の4つの機関誌から高等師範学校附属小学校の歴史教育実践を実証的に明らかにした。 平成20年度の研究成果は以下の2点である。 第一に,奈良女子高等師範学校附属小学校の合科主義歴史教育諭について,大松庄太郎の理諭と実践を手がかりに,大正末期から昭和初期までの大松の歴史教育に関する著作及び『学習研究』『伸びて行く』などの諭考を分析対象にして明らかにした。 第二に,広島高等師範学校附属小学校の理解主義歴史教育諭について,大久保馨を中心にしながら,その理諭と実践の特質を明らかにした。広島高等師範学校附属小学校の学校教育研究会が発行した『学校教育』に大久保が諭考を発表するのは,1921年2月号(第92号)が初出で,以後,1939年9月号(第324号)まで継続的に諭考を発表している。そこで,『学校教育』に発表された大久保の歴史教育に関する諭考と著作を主な対象として分析を行った。 次年度は,残った高等師範学校附属小学校の歴史教育論の分析を行う計画である。
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