2009 Fiscal Year Annual Research Report
中核企業が持つ外部組織の管理能力と競争力に関する研究:デジタルカメラ産業の事例
Project/Area Number |
20830061
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中道 一心 Kochi University, 教育研究部・人文社会科学系, 講師 (60512001)
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Keywords | 経営学 / 競争力 / 外部組織 / デジタルスチルカメラ / 管理能力 / 事業システム |
Research Abstract |
本研究の目的は、デジタルカメラ産業において、なぜ、日本企業(群)が持続的な国際競争力を有しているのかについて、中核企業(ブランドメーカー)が持つ外部組織の管理能力に着目して解明することであった。そして、主な研究課題は、(1)なぜ、中核企業は巧みにOEM/0DM企業を活用できるのか、その背後にある組織能力とはどのようなものか、(2)オープンな部品取引が根付いているなかで、中核企業は部品サプライヤーをどのように管理しているのかという2つの課題であった。それを解明するために、30を超える企業に対し、50回ほどの聞き取り調査を中心とした定性的調査を行った。結論としては、試行錯誤のなかでOEM/ODM企業や部品サプライヤーを管理する組織能力を身に付けてきており、それは属人的な管理ノウハウから段階的に組織レベルで共有できる管理ツールへと昇華している。また、管理主体は大きくふたつに分かれ、本社が基幹部品を製造する部品サプライヤーやOEM/ODM企業を、製造拠点は汎用部材のサプライヤーや、部品の加工、サブ組立などの外注先企業を管理しており、それをサポートする組織改編を行っている。こうした外部組織の管理能力の発展は、デジタルカメラ産業の完成品市場における激烈な企業間競争がプレッシャーとなっており、これまで長期的な取引関係があった企業からの調達に依存するのではなく、非日系企業やローカルサプライヤーを含めた多様な調達先を開拓する必要に迫られているためである。こうした発見事項を整理したとき、本研究の主張点は、製品ラインアップ全体を特定の事業システムで営むのではなく、製品ラインごとに中核企業が適当だと判断した事業システムを選択、実行するプロセスが重要であり、複数の事業システムで多数の外部組織の管理にまつわる試行錯誤を行うことによって、中核企業はその管理能力を高め続けるということである。
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