2009 Fiscal Year Annual Research Report
自立活動を主として指導する教育課程の実態調査と自立活動における評価の観点の作成
Project/Area Number |
20830062
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
一木 薫 Fukuoka University of Education, 教育学部, 助教 (30509740)
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Keywords | 自立活動 / 教育課程 / 評価の観点 / 個別の指導計画 |
Research Abstract |
1979年の養護学校義務制実施以降、在籍する児童生徒の障害の重度・重複化への対応は、重複障害者等の教育課程の取扱いを適用する各学校の裁量に委ねられてきた。ボトムアップの視点で指導計画を立案する自立活動の考え方や自立活動を主として指導する教育課程は、個々の児童生徒の実態や教育的ニーズに対応する点で評価される。しかし一方で、個々の実態を基点とする指導計画の立案及び教育課程の編成は、教師が指導の展望を描きにくい状況をもたらした。特別支援学校(肢体不自由)教師を対象に実施した調査では、教師が描く指導の展望は約3、4年であり、「日々の指導の見通しに対する困難さ」や「自立活動の指導における個別の指導計画作成上の不安」が影響を及ぼしていること、障害児教育経験年数の浅い教師ほど「自立活動の指導における個別の指導計画作成上の不安」が有意に高いこと、教育課程の類型による結果には差異がないことが明らかになった。 個別の指導計画は、各学校の教育課程を個々の児童生徒の実態や教育的ニーズに応じて具現化したものである。平成11年度以降に作成された個別の指導計画の分析では、自立活動を主として指導する教育課程における指導事項の大半を、生活リズムの確立や体温調節、身体の緊張の弛緩、変形拘縮の予防、摂食、排痰、排泄、意思の伝達、集団への適応、経験の拡大等が占め、経年的に目標設定されるものも少なくないことが明らかになった。個々の実態に応じて指導目標及び指導内容を設定する自立活動の指導は、学校教育目標のもとめざす児童生徒像との関連が深い。事例検討では、それらの像をふまえた評価の観点を各学校で設定し、その観点に沿って現在に至る成長の記録を再評価し、今後の評価を蓄積することが、教育課程検討のための基礎資料を得る上で重要であると確認された。
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Research Products
(2 results)