2008 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少時代における持続可能な地方公共交通のあり方に関する実証的研究
Project/Area Number |
20830065
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Research Institution | Yamaguchi College of Arts |
Principal Investigator |
齊藤 康則 Yamaguchi College of Arts, 保育学科, 講師 (00516081)
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Keywords | 地方公共交通 / 市民参加 / 公共性 |
Research Abstract |
地方都市における公共交通の廃止は、鉄道事業法と道路運送法の改正以降の全国的な趨勢である。2000年代に入ってから、30路線以上の地方鉄道が廃止されており、路線バスについては枚挙の暇がない。本年度は、地方鉄道・路線バスの存続/廃止、コミュニティバス・乗合タクシー・移送サービスの導入に関する典型事例を対象として、ステークホルダーに対するヒアリング調査を通して、意思決定のプロセスを明らかにした。 具体的に取り上げたのは、平成17年に廃線となった日立電鉄線(日立市・常陸太田市)のケースである。「日立電鉄線を存続させる市民フォーラム」「日立電鉄線の維持存続をもとめる高校生徒会連絡会」による運動展開、廃線決定に見られる日立市・常陸太田市の行財政過程の分析を通して、地方鉄道が廃線に至るまでのプロセスを明らかにした。また、廃線後に見られる「坂下地区コミュニティ推進会」による乗合タクシー「みなみ号」(行政主導型事業から住民主導型事業への転換)、「塙山学区住みよいまちをつくる会」による乗合タクシー「木曜サロンカー」(住民主導型事業における交通事業者との連携)を事例として、民間の交通事業者による公共交通(の空白化)を代替する「地域公共交通」というシステムの協働創出のプロセスを明らかにした。なお、前者の事例については「地方都市における乗合タクシー事業をめぐる住民と行政の協働」(『地域社会学会年報』21号)に中間報告を発表している。
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