2009 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少時代における持続可能な地方公共交通のあり方に関する実証的研究
Project/Area Number |
20830065
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Research Institution | Yamaguchi Gakugei College |
Principal Investigator |
齊藤 康則 Yamaguchi Gakugei College, 教育学部・子ども教育学科, 講師 (00516081)
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Keywords | 地方公共交通 / 市民参加 / 公共性 |
Research Abstract |
地方都市における公共交通の廃止は、鉄道事業法と道路運送法の改正以降の全国的な趨勢である。そこでは、住民と行政の両者が「買い物・通院の足」を奪われる<生活圏の危機>というテーマを共有し、それぞれが従前の立場性を変えながら(=余儀なき共的領域の拡大、選択的な公的領域の拡大)、相互補完的に、「地域公共交通」という新たなコミュニティ交通を協働創出する必要性に迫られている。そして、民間の交通事業者による公共交通(の空白化)を代替する「地域公共交通」というシステムは、非制度的・非市場的であるがゆえに、非安定的・非確実的でもある。 本年度は、「坂下地区みなみ号運営委員会」リーダー、日立市都市政策課職員に対するヒアリング調査と並行して、日立市坂下地区に居住する60歳以上の住民約450名を対象とした「坂下地区における公共交通の利用状況と日常生活行動に関する実態調査」を実施し、年間2000円の地域負担をめぐる"まだら模様"の住民意思から形成された「同意」の構造、乗合タクシー「みなみ号」運行以後の移動困難層の日常生活行動(外出目的に応じた頻度、地域交通手段)について明らかにした。この結果については地域還元すると同時に、次年度以降の学会報告、論文投稿を検討している。これを踏まえて、人口減少時代における地方公共交通の持続可能なあり方について規範的に考察していきたい。
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