2009 Fiscal Year Annual Research Report
精神保健福祉領域のソーシャルワーク実践における対等性の研究
Project/Area Number |
20830076
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
江間 由紀夫 Tohoku Bunka Gakuen University, 医療福祉学部・保健福祉学科, 准教授 (50453361)
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Keywords | ソーシャルワーク / 精神保健福祉 / 援助関係 / 対等性 / 利用者主体 |
Research Abstract |
本研究は、精神保健福祉領域におけるソーシャルワーカーと利用者の対等性に関する概念とその成立条件の検討から、利用者主体の援助関係のあり方を見いだすことを目的とするものである。 平成21年度は、平成20年度のインタビューデータの分析を基に対等性に対する利用者の想いや専門職に対する希望、精神保健福祉士が意識していることについて考察を深めた。加えて追加データを得るためのインタビュー調査を行った。精神保健福祉士へのインタビューとしては、拒否的な利用者に対して積極的な訪問活動を行っている精神保健福祉士2名(宮城県、静岡県)から話をうかがった。関わりを拒否されても積極的にアプローチしていき、医療への繋がりをつけていくという活動を続ける中で、どのように対等性が意識されているのかを確認した。そこでは、利用者が望む生活を実現することを目的とし、医療も単なる手段の一つであると位置づけることで、利用者と対等な人間として共に「遊べる」関係を作りつつ信頼関係を結んでいくという実践がなされていた。また、利用者側の視点からの追加データとしては、精神障害を抱えたピアスタッフとして相談支援の業務に就いている利用者1名(宮城県)から話をうかがった。援助者と利用者との中間的な立場にあることの難しさがあるものの、業務とは別なところで当事者同士の友人としての関係も大切にしていることや、相談においては専門職と同様の意識を持って取り組んでいること等がうかがわれた。 平成20年度の調査と併せて検討した結果、現時点では両者の間に非対等性が存在していることを認識した上で、対等な関係に近づこうとする様々な行為を通して限定的に対等性が成立し、その経験がまた次の支援における対等性の成立に向けた動機へと結びついていくと考えられた。
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