2009 Fiscal Year Annual Research Report
英国における「ものづくりの国」日本のイメージと日本技術教育観に関する史的研究
Project/Area Number |
20830081
|
Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
平岡 麻里 Nippon Institute of Technology, 工学部, 講師 (40458500)
|
Keywords | 教育学 / 教育史 / 比較教育 |
Research Abstract |
本年度は、前年度の調査の分析と成果発表と19世紀末~20世紀初頭の英国で開催された博覧会における「ものづくりの国」日本イメージの調査を行った。具体的には、7月にIEEE, IPCCにて、伝統的な「ものづくりの国」としての日本とその原動力として学ぶことへの熱心さをあげていることを現代の技術教育従事者への提言として発表を行った。また、12月には英国教育史学会にて英国における日本の技術とその教育のイメージ再考を促す口頭発表を行った。 調査としては、8月に日本政府が教育に関する展示物を提供した主な博覧会である国際健康博覧会(1884)、日本教育博覧会(1907)、日英博覧会(1910)に関して現地調査を行った。とくに健康博の際には、Natureや技芸協会機関誌などの専門誌に日本の技術教育の記事が多く掲載されていた。また、教育博の展示物がエジンバラ(1908)・マンチェスター(1908)・ベルファスト(1909)・サンダーランド(1910)の博覧会で順次展示されている事実があったので、その詳細を確認するために、ロンドンにてベルファストとサンダーランドの地方新聞の記事を収集した。それにより、ベルファストの博覧会の概要はなり判明したが、サンダーランドは全く史料となるものが見つからなかった。マンチェスターとスコットランドの地方紙は有料WEBアーカイブを利用し、日本で収集した。 2月には各地を訪れる現地調査を行った。この調査により、当時の英国の技術教育関係者が日本の技術教育に関心を持つ場合は、工業技術ではなく工芸に関しての興味の為であることがわかった。これは日本側のアピールとはずれがあるが、英国における伝統的な「ものづくりの国」としての日本観とは合致している。このずれを日本側で認識することは、自己の姿を再確認につながり、日本の教育の何を改革し、何を残すべきかを考える糸口として重要である。
|
Research Products
(3 results)