2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期における身振り表現の発達的変化及び関連要因の検討
Project/Area Number |
20830085
|
Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
大神 優子 Wayo Women's University, 人間・社会学系, 講師 (40452031)
|
Keywords | 身振り / 言語発達 / 道具使用身振り / BPO |
Research Abstract |
身振り表現(gesture)は、幼児期に、言語能力その他の認知能力とともに、様々な発達的変化を遂げることが指摘されている。本研究は、身振り表現の発達的変化の詳細(例:身振りの視点や形態)と、言語能力・空間構成能力などの発達がこれらの身振り表現の変化とどのように関連するのかを明らかにすることを目的としている。初年度である本年度は、身振り表現と言語能力の関係を中心に検討するとともに、その他の課題についての予備実験を行った。方法:就学前児(3〜5歳児)約90名を対象に、個別面接で、身振り課題(道具を使用するふり:歯ブラシ・のこぎりなどのイラストを提示して「これ知ってる?」「使うマネできるかな?」)及び言語課題(絵画語い発達検査:4種類の絵の中から指さしで選択)を行い、身振り課題の形態の変化(手での代用表現を用いるかどうか)と言語能力の関係を検討した。結果:道具の使用に関する身振り表現は、年齢があがるにつれ、手での代用表現の割合が減少し、手の中に道具のための空間を保持した表現の割合が増加していた。しかし、言語能力については、道具の命名との関連は見出されたものの、このような身振り表現の変化との関連は見出されなかった。3歳児が比較的少なかったことと、本年度の対象児の言語能力が全体に低めであったことが影響している可能性があり、今後、対象児を増やして検討する予定である。また、予備実験として、別の対象児に、上述の2課題に加えて構成課題(積木)・こころの理論課題(スマーティ課題)・言語流ちょう性課題(カテゴリー)のいずれかを行った。データ収集中のため、明確な傾向は見出されていないが、手続き上の改善点として、教示や課題内容の修正が必要であることが示された。今後は、これらの問題を改善した上で、4・5歳児を対象に本実験を行う予定である。
|