2009 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントの認識過程を含んだ新しい意思決定理論の経済学・ゲーム理論における展開
Project/Area Number |
20830095
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
佐藤 崇 Toyo University, 経済学部, 助教 (30511331)
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Keywords | 意思決定理論 / チャンネル理論 / 表象システム / 量子ゲーム理論 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが提唱する、エージェントの認識過程を含んだ新しい意思決定理論を、既存の意思決定理論に立脚する経済学を基礎づけるとともに、既存の意思決定理論に対してアノマリーとして示されてきた選択行動をも基礎づける、より一般的な説明枠組みとして展開していこうとするものである。既存の意思決定理論に対するアノマリーは、複数の選択問題に対するエージェントの反応のある種の不整合を指摘するものが多く、これを説得的に説明するためには、不整合な選択結果が共存しうる状態を整合的に説明する必要がある。そのために、エージェントの選択問題そのものに関する認識がエージェントの欲求や知識に影響する仕方を定式化する必要があり、平成20年度途中よりベースとなる意思決定理論の改訂を試みてきたが、予想に反して首尾よく進まず、新しい理論的アイデアの導入の必要が求められた。量子論においては、量子状態は観測されるまでは複数の異なる状態が共存している(重なり合っている)とされ、平成21年度に入り、この状態の重ね合わせという量子論のロジックが有用であると見込みを付けてこれを学習し、より経済学に近い量子論の応用分野である量子ゲーム理論の分野で研究成果を得た。これによって得た着想を元にベースとなる意思決定理論を改良し、平成21年度中に理論を完成することができた。この成果は現在論文にまとめている最中であり、平成22年5月を目処に発表する予定である。
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Research Products
(3 results)