2009 Fiscal Year Annual Research Report
現在における民法と消費者法の関係についての考察-不当条項規制論を手がかりに-
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20830098
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
大澤 彩 Hosei University, 法学部, 准教授 (30510995)
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Keywords | 民事法学 / 民法 / 消費者法 / フランス法 |
Research Abstract |
本年度は、まず、本研究課題を遂行する上で重要な問題の1つである「不当条項規制の構造と展開-フランス法との比較から-」というテーマにつき、昨年度公表した日本法部分から得られた比較の視点をもとにフランスの濫用条項規制システムの特徴及び近時に至るまでの発展につき検討し、日本における特別法による不当条項規制のあり方の展望、その民法による不当条項規制との関係につき、一定の示唆を導いた(拙稿「不当条項規制の構造と展開(4)~(7・完)-フランス法との比較から-」法学協会雑誌126巻4号862頁以下、5号955頁以下、6号1216頁以下、7号1351頁以下(2009年4月~7月))。同論文については、日本私法学会において個別報告を行った上でさらに修正を加え、2010年秋に有斐閣より『不当条項規制の構造と展開』として上梓すべく脱稿済みである。 また、不当条項規制の具体的な基準を模索するために、2009年にフランスでなされた濫用条項リストのブラック・リスト及びグレイ・リストの制定につき紹介した(拙稿「フランスにおける濫用条項のリストについて-2008年の消費法典改正および2009年のデクレの紹介-」法学志林107巻2号37頁以下(2009年9月))。これによって、近時日本でも有力に主張されている不当条項のリスト化について考える際の1つの一例を示した。 さらに、民法による不当条項規制の可能性を考える1つの素材として、事業者間契約における責任制限条項が民法典1131条によって書かれざるものとされた、フランスの有名なクロノポスト判決(破毀院第1民事部1996年10月22日)を紹介、検討した論文を脱稿し(拙稿「事業者間契約における責任制限条項の効カークロノポスト判決(破毀院商事部1996年10月22日判決(Bull.civ.IV.n°261))」金山直樹ほか編『フランス判例民法の軌跡(仮題)』(法律文化社、2010年秋出版予定))、民法による不当条項規制に不当条項規制特別法の規定が与えている影響について分析した。
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Research Products
(7 results)