2008 Fiscal Year Annual Research Report
新自由主義体制下における都市周縁層の空間的隔離と社会的排除に関する日米比較研究
Project/Area Number |
20830099
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 研之輔 Hosei University, キャリアデザイン学部, 講師 (30513204)
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Keywords | 新自由主義国家 / 社会的周縁層 / 社会的排除 / 空間的隔離 |
Research Abstract |
本研究では、経済・イデオロギープロジェクトとしての新自由主義政策のグローバルな受容過程に平行して、次第に社会問題化してきた新自由主義国家の刑罰論的転回について、特に、米国の事例から検討を加えた。 新自由主義国家は、「上層階級から下層階級への「埋め込まれた自由主義」時代の流れを逆転させるような再分配政策の主要な担い手」(ハーヴェイ、2007、228)となり、「低賃金使い捨て労働者」、「不安定労働者」、「失業者」を多量に生み出し、社会階層の底辺に位置する人々の労働環境・条件を悪化させる。1980年代から90年代にかけて、新自由主義の弊害は、労働市場の再編一分割による多量な失業者を構造的に生み出していくという社会的排除を社会問題化した。 こうして新自由主義体制が加速させた現代社会の構造的・経済的変化の結果生み出された従来の社会保障制度では対応できない社会層に対して、イギリス・フランスでは、「社会的排除(Social Exclusion)」論、米国では、「社会的周縁層(Social Marginality)」という概念を用いて検討が加えられてきた。だが、これら都市周縁層に関する理論的蓄積の総合的な精査は課題として残されている。 そこで本研究では、(1)新自由主義国家の刑罰論的転回と(2)都市周縁層論を理論的課題に据え概念的整理・検討を行なった。また、米国の不法移民の日雇い現場のフィールドワークを継続的に行い、社会的周縁層の内実についての考察を進めている。本年の成果は、今後、国内の若年滞留層の社会的排除の研究とともに、日米比較研究へと展開していくための理論的・実証的基盤を構築した点にあるといえよう。
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Research Products
(10 results)