2009 Fiscal Year Annual Research Report
新自由主義体制下における都市周縁層の空間的隔離と社会的排除に関する日米比較研究
Project/Area Number |
20830099
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 研之輔 Hosei University, キャリアデザイン学部, 專任講師 (30513204)
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Keywords | 新自由主義国家 / 都市周縁層 / 空間的隔離 / 社会的排除 / 非正規滞在移民 / 刑罰国家 |
Research Abstract |
本研究では、グローバル金融・経済危機によって増加した「社会-労働問題(プレカリアート層の「切り捨て(派遣切り・雇用契約の打ち切り等)」によって生み出される社会的排除の動態的な過程と新自由主義国家の動向についての社会学的な分析を行った。 新自由主義国家は、「上層階級から下層階級への「埋め込まれた自由主義」時代の流れを逆転させるような再分配政策の主要な担い手」(ハーヴェイ、2007、P.228)となり、「低賃金使い捨て労働者」、「不安定労働者」、「失業者」を多量に生み出し、社会階層の底辺に位置する人々の労働環境・条件を悪化させてきた。1980年代から90年代にかけて、新自由主義の弊害は、労働市場の再編-分割による多量な失業者を構造的に生み出していくという社会的排除を社会問題化した。こうして新自由主義体制が加速させた現代社会の構造的・経済的変化の結果生み出された従来の社会保障制度では対応できない社会層に対して、イギリス・フランスでは、「社会的排除(Social Exclusion)」論、米国では、「社会的周縁層(Social Marginality)」という概念を用いて検討が加えられている。これらの社会的排除論は、グローバル金融危機以降の社会変化を踏まえて、再検証される必要がある。 この点を念頭に置き、本研究では、第一に、新自由主義国家からポスト新自由主義国家への歴史的・制度的変化に関する認識論的枠組みを検討した。そして、第二に、都市周縁層の日常的な生活のなかに社会的排除がいかに経験されるのかを明らかにするべく、米国において現地調査(2009年8月10日~9月18日)を行い、その成果をまとめた。また、本研究で行っている現地調査、具体的には、社会調査における質的調査法の認識論的土台についても検討を行い、その成果を研究論文にまとめた。
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Research Products
(7 results)