2009 Fiscal Year Annual Research Report
大人の甘えを好ましく感じる要因の解明と甘えの関係性向上効果の日米韓比較
Project/Area Number |
20830100
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
新谷 優 Hosei University, グローバル教養学部, 助教 (20511281)
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Keywords | 甘え / 対人関係 / 文化比較 / 関係の親しさ / コントロール感 / 好意 |
Research Abstract |
1「甘える側」と「甘えられる側」が甘えを好ましく思う要因の検討 平成21年2月に実施したランダムサンプリングによる郵送調査の分析を行った。大人の甘えに対して肯定的な態度をもつ人ほど、自分が友人に甘えた場合と、友人が自分に甘えた場合それぞれにおいて、うれしかったと回答していたが、それは関係の親しさを感じ、また、コントロール感があるためであった。さらに、仮説通り、「甘える側」は、相手から思いやりを感じ、相手に対する負担が少ないほど甘えを好ましく感じ、「甘えられる側」は、相手が自分を信頼し、負担が少ないほど、甘えを好ましく感じることが確認できた。大人の甘えは、不適切な側面があるにも関わらず、上の条件が満たされれば喜ばれることが明らかになった。 2「甘え」が対人関係に与える影響の検討 人から甘えられることで対人関係が実際に促進されるか、日米で実験を行った。サクラが参加者に甘える条件と甘えない条件を設け、サクラに対する好意度や印象を実験の前後で測定した。その結果、サクラが参加者に甘えた場合でのみ。サクラに対する好意、サクラから感じる好意、サクラの好ましい印象が増加していた。サクラが参加者に甘えない条件では、これらの変数に変化は見られなかった。これは、甘えの関係促進効果を裏付ける結果である。また、甘えの関係促進効果は日本に限らず、アメリカでも確認できた。甘えの概念をもたない文化でも、対人関係の理解に甘えの概念が役立つと言える。なお、韓国でも追試を行う予定であったが、事前の質問紙実験では、韓国人は日本人よりも甘えられることを喜ぶ傾向があり、甘えの負担が大きければ大きいほどうれしく感じる、という日本と異なる予想外の結果が得られたため、まだ韓国での追試は行っていない。今後は、日韓の文化差について追究していくとともに、上の調査で明らかになった甘えが好まれる条件を実験に取り入れていく必要があるだろう。
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Research Products
(2 results)