2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830101
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
梶谷 真也 Meisei University, 経済学部, 講師 (60510807)
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Keywords | 経済政策 / 健康 / 社会保障 / 労働市場 / 実証分析 |
Research Abstract |
本研究では,就業形態が高齢期の健康に与える影響を,(1)職種や労働時間など就業行動の違いが将来の健康に与える長期的な影響と,(2)就業行動の違いが現在の健康に与える短期的な影響とに分けて,それぞれの影響を計量的に明らかにすることを目的とする.平成20年度は,「高齢期の就業と高齢者の健康」に関する分析を行った. 具体的には,高齢期の就業が高齢期の健康度を高めるか否かという点を明らかにするために,高齢者の健康状態と就労状態との同時性を考慮した分析を行った.なお,当初の計画では,「健康と生活に関する調査:1999年・2001年」の個票データを利用する予定だったが,サンプル数をより多く確保して頑強な推定結果を得るために,「全国高齢者パネル調査:1987年・1990年・1993年」の個票データを用いた. 分析の結果,1)健康の主観的評価には,傷病の有無だけでなく,体力の程度や抑うつ度の要因が大きく影響していること,2)高齢者が働くことで彼らの健康度は高まることを統計的有意に確認した.ただし,3)高齢者の労働時間は相対的に短いことも確認された.これらの結果は,労働時間を相対的に短くしながら就業することで,高齢者は健康を維持できる可能性を指摘している. なお,慶應義塾大学や明星大学のセミナーにおいて,これらの成果を報告した.そして,得られたコメントをもとに論文を改訂し,レフリー付国際学術誌に投稿を済ませた.
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Research Products
(3 results)