2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830105
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 華生子 Waseda University, アジア太平洋研究センター, 助手 (80507905)
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Keywords | アジア地域 / NGO / 都市計画 / 住宅開発 / コミュニティ開発 / スラム |
Research Abstract |
研究二年目にあたる本年度は、住開発の国際NGOであるハビタット・フォー・ヒューマニティ・インターナショナル(以下、ハビタット)のアジア太平洋地域での活動に焦点をあてて、同地域で採用されているプログラム・モデルの転換し注目し、国際NGOの組織体制とネットワークの構造変化を分析することに試みた。すでに初年度の研究において、(1)地元のNGOを中心とした分権型の組織体制が見直され、末端のローカル・オフィスが開発プロジェクトを計画・実施する形から、国単位のナショナル・オフィスが開発プロジェクトを管理・実施する形へとプログラム・モデルが変化していること、(2)新しいモデルの導入は国ごとにその進行具合が大きく異なることが明らかになった。本年度は、前年度におこなった調査結果をまとめながら文献調査とインタビュー調査(アジア太平洋統括部、主要国ナショナル・オフィス)に取り組み、プログラム・モデルの転換の背景にある要因を検討した。本年度の研究で明らかになったことは、以下の二点である。第一に、エンパワーされる受益者を増やし、組織として存続していく力の強化がNGO運営の鍵であり、モデルの転換によって合理化/効率化を図っていることである。第二に、モデルの転換によって、国際NGOと地元NGOとのネットワークが変化しており、フランチャイズ制をとってパートナーシップを結ぶ形から、国際NGOの内部組織として吸収される形へ移行していることである。以上の知見を昨年度からの研究結果と合わせて考えると、ハビタットにおけるプログラム・モデルの転換は、活動の拡大戦略であると同時に、地元社会との関係性を再定義する試みであることが発見できた。
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