2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後から高度経済成長期における定時制高校の生徒文化に関する研究
Project/Area Number |
20830108
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 崇 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 助手 (10507966)
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Keywords | 定時制高校 / 生徒文化 / 学校文化 / 歴史社会学 / 教養主義 / 修養主義 / 勤労青少年 |
Research Abstract |
本研究は、戦後から高度経済成長期における公立定時制高校(普通科)における社会化の側面に注目し、生徒文化の変容を明らかにしようとしたものである。今年度は、昨年度に引き続き、定時制高校、公文書館、図書館などにおいて資料の収集を行い、主に地方都市に位置する定時制高校の社会的機能と生徒の社会的属性などの変化について考察した。これらの考察の結果を論文にまとめた。 また、研究対象とした定時制高校の学校文書を主な資料として、主に地方都市に位置した定時制高校の生徒文化に関する考察を行った。考察の結果と得られた知見は以下の通りである。 戦後の社会変動と教育変動に伴い、定時制高校の学校文化、生徒文化は大きく変容した。戦後の定時制高校における生徒文化の変容の要因に関しては、各時期(創設期、過渡期、安定期、転換期)によって異なり、能力別クラス編成などの制度文化の影響や教員文化の影響もみられたが、各時期を通じて、最も大きな要因は戦後の社会変動及び教育変動に伴う生徒の社会的属性の変化であった。 先行研究において、1950年代前半には、勤労青少年の大衆文化とエリートの教養主義には断絶がみられるとされていたが、本研究で得られた知見では、勤労青少年が通った定時制高校において、教養主義と修養主義・大衆文化が混在しており、中間的な文化がみられた。したがって、本研究の事例に限れば、エリート文化と大衆文化は断絶しておらず、むしろ連続していたという結論が得られた。 本研究の意義としては、第一に、これまで研究の空白であった領域を開拓した点、第二に、事例研究ではあるが、先行研究で指摘された知見とは異なる新たな知見を得られた点で研究上の意義があると考えられる。
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Research Products
(1 results)