2008 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション下の社会的公正とリテラシー教育に関する研究
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20830115
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
竹川 慎哉 Chubu University, 教育実習センター, 講師 (30513311)
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Keywords | リテラシー / グローバリゼーション / 社会的公正 / オーストラリア / カナダ |
Research Abstract |
本研究の目的である、グローバリゼーション下の社会における「公正で質の高いリテラシー教育」のモデル化を達成するために、平成20年度は、オーストラリア、クイーンズランド州の批判的リテラシー教育に焦点を当て、以下の課題について検討した。 1)クイーンズランド州における批判的リテラシー教育をめぐる教育・政治の言説分析 州内の公立小学校を訪問し、批判的リテラシー教育の実践方法について、授業観察、教材分析、および教師へのインタビューから明らかにした。同州の取り組みを制度的に支えているのは、(1)州の教育課程の枠組みを策定する、州政府とは独立した第三者機関の設置、(2)各学校の教育課程編成の自律性、という二つの要因であることが明らかになった。 しかし他方で、教育課程政策の分析からは、批判的リテラシー教育という用語が州の政策文書から徐々に消えてきていることが判明した。これは、グローバルな経済競争を意識した保守派からのバッシングの影響と同時に、社会的公正のとらえ方の質的な変化がその背景をなしていることが明らかになった。 2)ナショナル・カリキュラムの動向 その問題を考える手がかりとなるのは、連邦労働党政権が準備を進めているナショナル・カリキュラムである。これにかかわる政策文書およびバックボーンとなっている理論枠組みを検討し、社会的公正という社会規範に関する前保守政権と現労働党政権の連続性と違いを検討した。
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