2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の攻撃行動における認知メカニズムの発達と社会的適応
Project/Area Number |
20830125
|
Research Institution | Eichi University |
Principal Investigator |
畠山 美穂 Eichi University, 人間文化共生学部, 准教授 (90510545)
|
Keywords | 幼児 / 関係性攻撃 / 道徳性 / 共感性 / 社会的情報処理能力 / 仲間 |
Research Abstract |
【目的】今日,「いじめ」問題の深刻化や自殺,暴力事件など,子どもをめぐる問題は後を絶たない。攻撃的な子どもは仲間から拒否されやすく,孤独や抑鬱などの内的な問題を抱えやすいことが知られている。攻撃行動は,共感性の欠如や社会的情報処理過程におけるエラーやバイアス,社会的スキルの不足と関連することが示され(Crick & Dodge, 1994など),社会的情報処理の修正や変容,社会的スキルトレーニングなどによる介入も行われている。これまでの攻撃行動に関する研究結果は,攻撃的な子どもが相手の立場に立って物事を考えることができず,相手の意図を誤って認知しやすい傾向にあること,そして,攻撃行動のために仲間に受け入れられず,孤独感や抑うつ感を抱えやすいと解釈されてきた。しかし,これらの研究では主に,攻撃行動を叩く・蹴るといった外顕的攻撃のみに焦点が当てられ,悪口や仲間はずれなどの,仲間関係を操作することによって相手を傷つける攻撃(関係性攻撃)は検討されてこなかった。そこで,本研究では,攻撃行動に対する適切な対応と予防法を確立する目的で,攻撃行動,特に,関係性攻撃にかかわる道徳的判断や共感性,社会的情報処理などの行動の基盤となる概念理解やその発達プロセスを明らかにすることである。 【方法】調査協力者:幼稚園年長児,年中児,年長児とその担任保育者 仲間関係調査:(1)保育者に対し,担任している幼児の仲間関係について尋ねた(2)保育者に対し,担任している幼児一人ひとりについて,社会的行動(関係性攻撃・外顕的攻撃・向社会性)に関する質問紙調査を行った。 道徳判断・共感性・社会的情報処理に関する質問:幼児に対して個別に実験を行った。 観察:幼稚園での自由遊び及び設定保育について,観察を行った。結果は現在分析中
|