2009 Fiscal Year Annual Research Report
特別活動におけるガイダンスプログラムの開発-共感性育成をめざす学級活動の再構築-
Project/Area Number |
20830126
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Research Institution | Eichi University |
Principal Investigator |
松岡 敬興 Eichi University, 人間文化共生学部, 准教授 (10510539)
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Keywords | 教育学 / ガイダンスプログラム / 共感性 / ロールプレイ / 生きる力 / 人間関係形成能力 |
Research Abstract |
生徒の問題行動が顕在化した背景として、将来への見通しがもてずに心の中で葛藤を繰り返していることがあげられる。元来、生き方については多様な選択が可能であるにも拘わらず、将来への夢や希望を抱くに至らないのは、何に起因しているのだろうか。その理由の一つとして、小・中・高等学校を通じて自分自身の生き方について考える学習の場が、十分に提供されていないことがあげられる。 そこで本研究ではこうした現状をふまえつつ、生き方に必要とされる共感性の育成をめざすガイダンスプログラムを開発し、それが生徒に与える教育効果について分析・検討を進めた。具体的には、対象を中学校段階に限定し、共感性育成プログラムのしくみ・開発・展開・教育効果を順序だててたどり、それを授業実践につなげた。ガイダンスプログラムの開発では、(1)すべての生徒を対象とし、(2)育成すべき能力が明確化され、(3)実現に向けた具体的な手だてが示され、(4)発達段階を加味することに着目した。 教育効果については、(1)教育相談のための綜合調査Σ、(2)共感経験尺度改訂版、(3)向社会的道徳的判断の発達検査を用い、プログラムの実施前と実施後に心理検査として測定した。共感性の変容を共感経験尺度により測定した結果、プログラムの実施前後で実験学級においてのみ平均値が有意に上昇したことから、プログラムの有効性を確認できた。また、向社会性の変容については向社会性尺度を用たい結果、レベル3(相手の立場に立つことはできるが自己中心的、あるいは紋切り型の指向)からレベル4a(自己反省的な共感性指向)への上昇に顕著な特徴が抽出された。この変容は、相手の立場・状況・心情を自分なりに理解し、それをふまえた判断を下したことを意味し、向社会性の構成要因のうち他者理解、とりわけ愛他性の深まりをもたらした。
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