2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的行動とエージェンシー問題へのリアルオプションの応用分析
Project/Area Number |
20830130
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
嘉本 慎介 Hiroshima Shudo University, 商学部, 助教 (20511413)
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Keywords | リアルオプション / 戦略的行動 / エージェンシー問題 |
Research Abstract |
今年度(H.21)は、前年度に引き続き、現代企業の投資に関する意思決定を分析する際に考慮すべき二つの要因、1)競合企業との市場での戦略的競争と協調、2)経営と所有の分離に起因する経営者の機会主義を個別に取り入れたリアルオプション・モデルを設定し、不確実性下における投資の意思決定にそれらの要因が及ぼす影響を分析する研究を行った。 1)の研究については、前年度に行った不完全競争下における市場への投資の意思決定に関する研究のモデルを応用した研究を行った。この研究では、二企業が生産設備への投資規模を選択できることと先発企業の市場参入後に参入する後発企業が製品差別化の程度を選択できることを仮定し、二企業の投資の意思決定、投資規模、製品の差別化の程度に関する事業戦略が、二企業のうち一方の企業が先発企業として独占的に市場参入できるケースと、どちらの企業にもライバル企業を出し抜いて先発企業のポジションを獲得できるケースにおいて、投資のタイミング、生産設備の規模、製品差別化の程度にどのような影響があるのかを理論的に分析した。研究は進行途中であり、分析結果は暫定的なものである。しかし、この研究は、企業間の戦略的行動を分析するリアルオプションの既存研究が考慮していない投資規模と製品差別化の選択が企業の市場参入の形態と市場の発展に有意義な示唆をもたらすと考える。 2)の研究については、前年度に行ったの機会主義的行動とに人的資本に派生する投資機会を明示的に考慮した投資の意思決定にする研究を進めるとともに、応用分析に関する今後の方向性を検討している段階である。
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