2009 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー効率改善によるリバウンド効果の緩和策に関する経済学的研究
Project/Area Number |
20830131
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
溝渕 健一 Matsuyama University, 経済学部, 講師 (90510066)
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Keywords | リバウンド効果 / 環境政策 / 省エネルギー / 乗用車 / 環境意識 |
Research Abstract |
本研究は、1.リバウンド効果の大きさの把握と2.リバウンド効果の緩和策の検討について、主に実証分析によってそれぞれの課題に取り組むものである。本年度は、前年度後半に計画していた乗用車のリバウンド効果の推定について、株式会社IRI-CTから購入した乗用車のマイクロデータの加工が終了したため、分析に移った。分析には乗用車の燃費と走行距離の内生性を考慮し、連立方程式モデルによって推定を行ったところ、リバウンド効果の大きさは29%となった。つまり、日本の乗用車部門にはリバウンド効果は存在することが示された。このリバウンド効果の大きさはそれほど大きなものではないが、近年のエコカー(燃費の良い車、ハイブリッドカー、電気自動車などのこと)に対する減税・補助金政策や高速道路無料化などの環境政策は、リバウンド効果を促進してしまう可能性もあることが懸念される。この論文は9月に千葉大学で行われた環境経済・政策学会で報告を行い、討論者のコメントなどに基づき、修正を行った後に査読付き雑誌に投稿を行った。この論文は、現在リバイズ作業中である。また、これまでの研究と合わせて、日本の家計、運輸、企業部門のリバウンド効果がそれぞれ計測出来たため、これらをまとめた日本のリバウンド効果をまとめた研究論文も執筆中である。さらに、今後の研究の展開であるが、リバウンド効果の緩和策の検討が十分に行うことが出来なかったため、この部分に関しては、平成22年-24年度にかけて申請・内定をいただいている若手研究Bの研究課題「経済学的インセンティブに基づいた省エネルギー行動促進政策の検討」において、引き続き分析・検討を行っていく。
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