2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20830133
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
竹村 仁美 Kyushu International University, 法学部, 准教授 (10509904)
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Keywords | 国際刑事法 / 検察 / 検察官 / 国際刑事裁判所 / 裁量 |
Research Abstract |
最終年度に当たり、国際刑事司法における検察官の裁量の包括的検討を行うため、資料収集、研究執筆活動、積極的な報告を行うことによって、科学研究費補助金による研究成果を充実させることに努めた。研究調査活動として、2009年5月末に、国内性及び国際性を備える混合法廷と呼ばれる形式をとるカンボジア特別法廷に出向き、国際共同検察官に対しインタビューを行った。また、カン・ケク・イウ被告人の公判を傍聴し、カンボジア特別法廷の実態を目にした。研究の成果について、研究の成果及び内容を学会から批判的に検討してもらおうと、国際法学会の報告公募試行制度第一回に応募し、2009年度(第112年次)国際法学会秋季大会において報告する機会を得た。そこでは主に、始動後6年目を迎えた国際刑事裁判所の検察局の現在の実行及び訴追政策と検察官の裁量の問題について紹介し、裁量の行使が国際刑事裁判所自体の評価や正統性の判断根拠となりうるという点を指摘した。これに続いて、2009年12月には漢陽大学の法学部国際裁判・仲裁法体系研究所(Center for Research on the Legal System for International Litigation and Arbitration)主催の国際刑事法セミナーで国際刑事裁判所の検察官の裁量の行使に関する問題を紹介した。平成21年度は学会報告の準備に精力的に取り組んだため、報告の成果を論文とする作業が遅れをとっており今後の課題として残る。そのような中でも、国際刑事裁判所の予審裁判部によるスーダン大統領の逮捕状請求に対する司法判断を判例評釈として「オマル・ハサン・アフマド・アル・バシール(Mr.Omar Hassan Ahmad Al-Bashir)に対する検察官の逮捕状請求に関する決定」九州国際大学法学論集第16巻3号に掲載する運びとなった。
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