2009 Fiscal Year Annual Research Report
短期大学生の「居場所環境」形成プロセスとキャリア・アイデンティティに関する研究
Project/Area Number |
20830138
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Research Institution | Shohoku College |
Principal Investigator |
杉本 希映 Shohoku College, 生活プロデュース学科, 講師 (90508045)
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Keywords | 居場所環境 / 短期大学生 / アイデンティティ |
Research Abstract |
平成21年度は、研究1(短大入学時の「居場所環境」形成プロセスの検討)、研究2(「居場所環境」形成に影響を及ぼす規定要因(個人特性・学生支援プログラム)の探索的検討)、研究3(「居場所環境」形成がアイデンティティ,キャリア選択に及ぼす影響の検討)として、前年とに引き続き2回目の縦断的質問紙調査を短期大学生に行い、随時分析を行った。 研究1では、質問紙調査とともに面接調査を行った結果をもとに、現在入学時からの「居場所」形成プロセスを分析している。研究2では、短大における「居場所」の心理的機能に影響を及ぼす規定要因として、サークル活動が見出された。特に短大における「居場所」の心理的機能のうち「被受容感・精神的安定」高群において、サークル活動の満足度が1回目・2回目調査時ともに高い学生が有意に多く、1回目は高く2回目が低かった、つまり満足度が下がってしまった学生が有意に少ないという結果が得られた。研究3では、短期大学における「居場所」の心理的機能とアイデンティティとの関連が見出された。特に短大における「居場所」の心的機能うち「被受容感・精神的安定」と「自己肯定感」が、1回目・2回目ともに高い群と1回目が低く2回目が高かった群は、その他の群(1・2回とも低かった群と下がった群)よりアイデンティティの下位尺度が有意に高いという結果が得られた。 本研究は、環境移行期における「居場所」形成プロセスを大学に焦点を当てて分析したことにより、大学における学生支援に示唆を与え得るものと考える。また、短期大学が「居場所」として機能することで、青年期のアイデンティティなど自己の発達を促すことが明らかとなったことから、短期大学が人格形成の面でも貢献しうること、そのためには学業面だけでなく他の活動が有効である可能性を指摘できたと考える。今後は、調査対象者、面接者を増やし、データを積み重ねることで、「居場所」の形成プロセスのモデルを構築するとともに、短期大学における学生支援に対し「居場所」という視点からのアプローチを提言していきたい。
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Research Products
(2 results)