Research Abstract |
【目的】発達障害のある者への就労準備教育に必要な情報内容(学習項目)を,彼らの情報処理特性を考慮し,分かりやすく盛り込むための「情報呈示方法」を明らかにした。 【成果】 (1)全国の教育機関・就労支援機関の支援者から得た自由記述データ,ならびに,発達障害のある子どもの保護者から得たインタビューデータをもとに,発達障害の情報処理特性を考慮した「情報呈示方法」に関する項目候補を30個作成した。 (2)(1)に対して,情報呈示時に重要視すべき視点(要素)を抽出するために因子分析を行った。その結果,<因子1:ワークブックの要点の押さえやすさ>,<因子2:ワークブックからの情報の抽出のしやすさ>,<因子3:ワークブックの活用のしやすさ>,<因子4:ワークブックの利用のしやすさ>,<因子5:ワークブックの情報の誤りのなさ>,<因子6:ワークブック使用による自尊心の低下への配慮>,<因子7:ワークブックへの親しみやすさ>の7つの因子が抽出された。 (3)上の7つの情報呈示方法の視点について,その優先度を確認することをねらいとして,「発達障害のある人への就労準備支援経験」がある者は,因子1~7のうち,どれをより高く重要であると評価しているかについて確認した。分散分析を行った結果,最も高く重要と評価されていたのは,<因子1:ワークブックの要点の押さえやすさ>,<因子2:ワークブックからの情報の抽出のしやすさ>,<因子5:ワークブックの情報の誤りのなさ>であった。 (4)上の分析で抽出された因子をチェックリストの大項目とし,30項目の学習項目を割りあてたリストを作成した。 (5)前年度作成した「情報内容チェックリスト」と今年度作成した「情報呈示方法チェックリスト」をふまえ,就労準備支援教材(案)を作成した。作成にあったっては,既存の教材の内容,ならびに,情報呈示手法を両チェックリストの視点から分類し,整理した資料を参考にした。
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