2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学計算による希ガス含有地球内部物質の存在予測
Project/Area Number |
20840001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武次 ゆり子 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 博士研究員 (30507190)
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Keywords | 希ガス化合物 / キセノン / 量子化学 / 消えたキセノンの謎 / 遷移金属 / DFT / 重元素 / 地球内部物質 |
Research Abstract |
精密な分光定数の報告のあるNiCO、Ng-NiCO(Ng=Ar, Ne, He)に対してab initio法であるCCSD(T)ならびにDFT法を適用し、構造、振動数、結合エネルギーを調べた。また遷移金属と希ガスの前周期・後周期における結合様式を調べるためNg-MCO(Ng=He, Ne, Ar, Kr, Xe ; M=Sc-Cu)化合物についてDFT法を用いて構造、振動数、結合エネルギーを調べた。CCSD(T)計算レベルにおけるNicOの平衡結合長はr(Ni-C)=1.662A、r(C-O)-1.157Aであり、実測値r(Ni-C)=1.669A、r(C-O)=1.152Aと非常に近い。またNg-NiCO分子においてNgは通常のvan der Waals力以上のエネルギー(E(Ar-Nico)=7.7kcal/mol, E(Ne-Nico)=2.2kcal/mol)で結合しており、r(Ng-Ni)もAr-NiCOでは1.675A、Nc-NiCOでは1.666Aとvan dcr Waals半径から予想される距離よりはるかに短い。また、Ng-NicO錯体における結合エネルギーを比較したところ、Af>He>Neの順となっており、NeとHeで結合の強さの順番が入れ替わる。その理由は、Nc, Arには電子が満たされたp軌道があるためNiCのp性の分子軌道との反発が生じるが、Heにはp軌道がない5のでその反発がないことから説明できる。NicO, CoCO, FeCO等の後周期遷移金属カルボニル化合物は希ガスと錯体を形成するが、いずれの化合物においてもHe, Neの結合の強さの順番が入れ替わる。 一方、ScCO, TiCO, VCO等の前周期遷移金属カルボニル化合物と希ガスとの相互作用はVan der Waals力程度に弱く、相互作用の大きさも通常のAr>Ne>Heの順となる。
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