2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学計算による希ガス含有地球内部物質の存在予測
Project/Area Number |
20840001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武次 ゆり子 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 博士研究員 (30507190)
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Keywords | 希ガス化合物 / キセノン / 量子化学 / 消えたキセノンの謎 / 遷移金属 / DFT / 重元素 / 地球内部物質 |
Research Abstract |
鉱物等の組成を参考に、地殻に含まれると推定される化合物と希ガスとの相互作用エネルギーを評価するため、スクリーニングの為のプログラムを作成し、DFT計算を用いて数百種類の希ガス化合物の計算を行った。また遷移金属と希ガスの前周期・後周期における結合様式を調べるためNg-MCO(Ng=He,Ne,Ar,Kr,Xe;M=Sc-Cu)化合物についてDFT法を用いて構造、振動数、結合エネルギーを調べた。前周期遷移金属カルボニル化合物と希ガスとの相互作用はvan der Waals力程度に弱いが、後周期遷移金属カルボニル化合物との結合エネルギーは7~10kcal/molである。また希ガスと特に相互作用の大きなPt化合物においては、精密な分光定数の報告のあるAr-MCO(M=Pt,Pd)に対してab initio法であるCCSD(T)ならびにDFT法を適用し、構造、振動数、結合エネルギーを調べた。CCSD(T)計算レベルにおけるPtCOの平衡結合長はr(Pt-C)=1.760Å、r(C-O)=1.151Å、PdCOの平衡結合長はr(Pd-C)=1.835Å、r(C-O)=1.146Åでであり実測値と非常に近い。PtCO分子におけるv(PtCO)はArがPtCOと結合することにより419cm-1から461cm-1へ約10%青方遷移する。ArPtCO分子の2v2の計算値は922cm-1でありIR(Ar-matrix)で検出されたと推定される2v2はArPtCO分子に帰属することが推定できる。
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