2009 Fiscal Year Annual Research Report
時間制御型プラズマCVDによる単層カーボンナノチューブの電気特性制御
Project/Area Number |
20840003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 俊顕 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (20502082)
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Keywords | プラズマCVD / 単層カーボンナノチューブ / 構造制御 / 蛍光特性 / 成長機構 |
Research Abstract |
本年度は,前年度までに確立した時間制御型プラズマCVD法を利用して直径,カイラリティに次いで重要な構造パラメータである単層カーボンナノチューブの長さ制御を試みた.長さの評価は原子間力顕微鏡で行った.その結果,成長時間を極めて短くしていくことで,長さばらつきも極端に抑制可能であることが判明した.さらに,最もカイラリティ分布が狭まる条件で長さ分布を測定した結果,ほとんどの単層カーボンナノチューブが100nm以下の短いナノチューブであることが明らかとなった.短いナノチューブは特異な光学特性や高い生態適合性等から近年大きな注目を集めているが,基板上に直接成長することが困難とされてきた.従って,基板上に直接,直径,カイラリティ,長さばらつきの極めて狭くかつ非常に短い単層カーボンナノチューブ形成が可能な本手法は単層カーボンナノチューブの応用に向けて大きな成果であると言える. また,成長時間に伴い直径,カイラリティ分布が変化する物理機構の解明を系統的な実験により行った.その結果,"炭素源供給開始から単層カーボンナノチューブの成長が開始するまでの時間"として定義することができるイシキュベーション時間と直径,カイラリティ分布のばらつきに興味深い相関が存在することを見出した.インキュベーション時間の中でも,特に単層カーボンナノチューブ先端のフラーレン半球型キャップ構造形成に要する時間の直径,カイラリティ依存性が,本実験において構造ばらつきが抑制された支配的な要因であるという成長モデルを提唱することができた.
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