2008 Fiscal Year Annual Research Report
Bergman空間上の荷重合成作用素のコンパクト性と本質ノルムの研究
Project/Area Number |
20840004
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
植木 誠一郎 Ibaraki University, 工学部, 講師 (70512408)
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Keywords | Bergman空間 / Hardy空間 / 荷重合成作用素 / 合成作用素 / コンパクト作用素 / 本質ノルム / Berezin変換 / Carleson測度 |
Research Abstract |
解析関数空間の一つであるBergman(ベルグマン)空間上の荷重合成作用素の本質ノルムに対する評価不等式の確立を目指した研究を行った。これまでの研究動向は解析関数空間上の荷重合成作用素のコンパクト性を、作用素を構成するsymbol関数uと写像φの持つ函数論的性質により特徴付けるものであった。作用素のコンパクト性と関係する作用素論的な量として本質ノルムが定義されるが、これら両者の関係については不明瞭なままであった。この関係を明確にするための研究が本質ノルムに対する評価式を与えることであり、この研究の進展によりこの種の作用素のスペクトルや作用素の構成する線形空間の位相構造の解明を大きく前進させることが期待できるため、この分野の研究発展のためにも最も急務な研究課題として考えられている。したがって、現在も多くの研究者達により研究が活発に継続されている。先行研究において、すでに単位球上で定義される荷重Bergman空間上の荷重合成作用素のコンパクト性がコンパクトCarleson測度条件とBerezin型積分変換の境界挙動により特徴付けられることを示していたので、これらの条件と本質ノルムとが比較可能であることを示した。また、Hardy(バーディ)空間上でも同様の評価不等式を与えた。さらに、Bergman空間に関連して整関数全体から成る関数空間であるBargmann-Fock(バーグマン-フォック)空間を導入し、この空間上の荷重合成作用素の有界性とコンパクト性の特徴付けを与えた。これらの研究過程における種々の計算の結果、本研究課題の目的の一つである「関数の直接の境界挙動によるコンパクト性の特徴付け」について、1変数Bergman空間の場合について本質ノルム評価およびコンパクト性の特徴付けを得るに至った。この結果については現在、然るべき雑誌に投稿中である。
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