2009 Fiscal Year Annual Research Report
LHC―ATLAS実験における余剰次元探索のための研究
Project/Area Number |
20840008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯部 忠昭 The Institute of Physical and Chemical Research, 櫻井RI物理研究室, 研究員 (40463880)
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Keywords | 素粒子 / 余剰次元 / ハドロンコライダー / ジェット / トップクォーク |
Research Abstract |
本研究はスイス・ジュネーブにある欧州原子核研究機構のLHC(Large Hadron Collider)加速器を用いて行われるATLAS実験でのKaluza-Klein粒子の探索を通した、余剰次元発見に向けての研究である。LHC-ATLAS実験での発見が示唆されているKaluza-Klein粒子を探索するため、実データを用いたTeV程度の高い運動量ジェットの較正やトップクォークやWボゾン等によるジェット源の同定法の開発が本研究の主な研究内容である。 平成21年度は主に実データを用いた超高運動量ジェットのエネルギー較正法の確立と、高エネルギートップクォークからなるジェット同定法の開発を行った。特にKaluza-Klein粒子は多大なQCD起源のバックグランドにより、その探索が困難であると考えられていた。しかし、本研究により開発されたジェットの構造や非孤立ミューオンを指標とする高運動量トップクォークの同定法を用いる事により、そのバックグランドの強い抑制が可能となる。この手法を用いるとATLAS実験でのKaluza-Klein粒子の発見が可能であり、これまで予言されている余剰次元モデルに対して知見を与える事ができる。具体的には、重心系エネルギー10TeVの陽子+陽子衝突実験を行った時、実験データの積算ルミノシティ200pb^<-1>で、質量が2.5TeV/c^2程度以下のKaluza-Klein粒子を発見できる。
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