2009 Fiscal Year Annual Research Report
MgO(001)単結晶基板を用いたトンネル型スピンフィルター素子の実現
Project/Area Number |
20840023
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 雅章 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 助教 (50508405)
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Keywords | スピントロニクス / スピンフィルター効果 / トンネル磁気抵抗効果 / 強磁性絶縁体 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で得られた結晶状態,磁気特性及び平坦性が最適となる強磁性金属La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3及び強磁性絶縁体La_2NiMnO_6薄膜のレーザーアブレーション法による作製条件で,MgO(001)基板上にLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3/LaTiO_3/La_2NiMnO_6/Cr/Au多層膜を成膜した.多層膜はフォトリソグラフィーやアルゴンイオンミリング装置等を用いて磁気トンネル接合素子を作製した.昨年度に立ち上げを行った低温下での伝導特性評価装置等を用いて極低温での磁気抵抗測定を行った結果,良好な電流電圧特性が得られたが,明確なトンネル磁気抵抗効果は観測されなかった.また,レーザー強度の調整をこれまでよりも精度良く行うためにレーザー用のアッテネーターを導入し,SrTiO_3ステップ基板にLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3/LaTiO_3/La_2NiMnO_6/Cr/Auを成膜した.同様の手法で磁気トンネル素子を作製し,伝導特性評価を行った結果.(1)50Kの磁気抵抗測定では,約20%のトンネル磁気抵抗効果が得られた.(2)110K以上で約10%のトンネル磁気抵抗効果が観測された.(3)トンネル障壁層の平坦性が改善し,絶縁性がよく,抵抗値が小さい磁気トンネル接合素子の作製に成功した.上述のように,MgO基板を用いたスピンフィルター素子では,研究期間内に明確なトンネル磁気抵抗効果が観測には至っていないが,一方でSrTiO_3ステップ基板を用いたスピンフィルター素子ではこれまでよりもトンネル磁気抵抗効果が高く,より高い温度で動作するトンネル型スピンフィルター素子の作製法が確立できた.
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