2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20840024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 由紀子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 講師 (30505649)
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Keywords | 弦理論 / カラビヤウ多様体 |
Research Abstract |
本年度はノンコンパクトなカラビヤウ多様体のミラー対称性について研究した。ミラー対称性の主張は3次元カラビヤウ多様体の種数ゼロ・グロモフ・ウィッテン不変量の生成母関数(A模型)がミラー対のカラビヤウ多様体の複素変形族のホッジ構造の変動、特に正則3形式の周期積分の満たす微分方程式系によって記述できるということであった。1996年にChiang-Klemm-Yau-Zaslowはある特定のタイプの3次元カラビヤウ多様体のある極限を考察することでミラー対称性から局所ミラー対称性を導いた。局所ミラー対称性では次の2つのものを扱う:一つはなめらかなネフ・トーリック曲面の種数ゼロ局所グロモフ・ウィッテン不変量(の生成母関数)であり、こちらはA模型と呼ばれる。もうひとつは、2次元反射的多面体に付随する、Gel'fand-Kapranov-Zelevinskyによって定義されたA-超幾何方程式系と呼ばれる微分方程式系(B模型)である。A模型のトーリック扇の1次元錐の生成元の張る多面体に対してB模型を考えると、その微分方程式系の解を用いてA側の生成母関数を求めることができるというのが局所ミラー対称性の主張である。局所B模型の幾何学的対象は多面体から決定されるノンコンパクトな3次元カラビヤウ多様体の族であり、またその上の相対正則3形式の満たす微分方程式が、A超幾何方程式であるということが挙げられる。このノンコンパクト多様体の中間次元のコホモロジーの混合ホッジ構造の変動(VMHS)を調べた。その結果、このコホモロジーは多面体に付随したヤコビ環で記述できることが分かった。
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