2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20840028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 清尚 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (60511003)
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Keywords | 強相関電子系 / 酸化物高温超伝導 / テラヘルツ / 光学測定 / 低温物性 |
Research Abstract |
本研究では、これまで適切な発生・検出技術が存在せず未踏の領域と呼ばれていたテラヘルツ波に着目し、分光測定に用いることで長年議論を呼んでいた高温超伝導体の光学測定での外挿問題に決着をつけることを目的としている。今年度は現有する反射型テラヘルツ時間領域分光装置の冷却機構を変更し、システムの真空化を行うことで実験精度を向上させることを目的としていた。しかし平成20年9月に冷却システムの評価の中で、ヘリウムフロー型の冷却システムに振動・真空の問題があることが判明した。さらに平成20年10月に反射型テラヘルツ時間領域分光装置の心臓部ともいえるfsパルスレーザー発生装置の想定外の故障が発生した。レーザーの修理対応を行ったため、改良を加えながら評価を行った冷却システムの変更に多くの時間を費やすこととなり、結果として多くの液体ヘリウムを使用することとなった。これらの対応により、年度内にシステムの真空化を完了させることが困難となってしまった。 一方、測定に用いる高温超伝導体試料についてはLa_<2-x>Sr_xCuO_4のx=0.10,0.12,0.13,0.15の試料の作成に成功し、超伝導転移温度を測定することで評価を行い、良質な結晶が作成できていることを確認できた。新たに考案した測定中にレーザー強度をモニタする手法により、実験精度を向上させることに成功し、作成した試料のc軸の反射率を測定したところ、スピン・電荷のストライプ秩序が報告されているx=0.13の試料でのみ、これまで報告されていない異常な振る舞いがあることを発見した。冷却機構の評価は完了しており、今後はシステムの真空化を完了させab面内の反射率測定からストライプ秩序の解明を日指す予定である。
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