2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20840034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤原 智子 Kyushu University, 高等教育開発推進センター, 助教 (50467875)
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Keywords | 恒星進化 / 変光星 / 突発現象 / 歴史的星図 / 歴史的星表 |
Research Abstract |
天体現象は、長時間に亘る観測で初めて検出されるものが珍しくなく、私たちの日常生活に於けるタイムスケールで、すべてを網羅することは不可能である。これまで、最古の天体記録を残す文献(写本も含む)であるPtolemaiosの「Almagest」(紀元2世紀)をはじめ、8つの歴史的星表と5つの星図を収集、恒星の等級データを抽出し、その時間変動を調べてきた。その結果、いくつかの文献に於いて、数百年に亘る恒星の等級変化を検出した他、現在確認できない天体も発見した。文献に記録されている座標値の精度を算出するため、固有運動や地球歳差運動を考慮し、近代の座標データを基に同定を行ったところ、Tycho Braheの文献「Astronomiae Instauratae Progymnasmata」の中に、誤植らしき(明らかな)データの誤りが見つかった。これを更に詳細に議論するため、パリ天文台に残されているKeplerの「Tabulae Rudolphinae Astronomicae(ルドルフ星表)」に記録されているTychoの観測データを調査した。しかしながら、「Astronomiae Instauratae Progymnasmata」の誤値は、Keplerの文献にも共通にあり、完全に修正することができなかった。また同定可能であった星についても、精度に定評があるTychoの観測には、これまで言われてきた以上の誤差が含まれている可能性があることが分かった。 星図に関しては、恒星の位置を同定するのに、ある程度の自動化が必要と思い、IRAF(Image Reduction and Analysis Facility)を用いたフィッティングを試みたが、投影法が確立される前の星図を、現在の星図と単純に合わせることが難しく、自動化には大きな課題を残している。しかし、手動であればある程度容易に比較ができ、現在のところBayerの「Uranometria」の星図に、10余りの未同定天体候補があることを発見した。
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Research Products
(7 results)