2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧力技術を用いた鉄系新高温超伝導体の異常な圧力効果に関する研究
Project/Area Number |
20840037
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 宏成 Nihon University, 文理学部, 助教 (40508751)
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Keywords | 鉄砒素系超伝導体 / 超伝導転移 / 圧力効果 |
Research Abstract |
“1111"系であるLaFeAs(O_<1-x>F_x)が示す超伝導転移温度の圧力効果を系統的に調査した。F濃度の低いx=0.05の試料では超伝導転移温度の上昇は比較的小さく、x=0.11やx=0.14といったF濃度の高い試料では大きな圧力効果を示し、最大で43Kを示す。x=0.14は銅酸化物系超伝導体と同様に考えればオーバードープのサンプルで、常圧の転移温度はx=0.11よりも低いにも関わらず、高圧下ではx=0.11同様に43Kを示し、結果として最も大きな圧力効果を示すことがわかった。これらの圧力効果は銅酸化物系とは全く異なるものである。また、母物質であるLaFeAsOの圧力誘起超伝導を見出し、12GPaで21Kを示すことがわかった。F置換した試料の圧力下での最高の転移温度はF濃度が増すことによって大きくなっていき、x=0.11やx=0.14で最大43Kになることを考えると、低F濃度領域のサンプルでは母物質が示す磁性の影響が残っており、高F濃度にすることによって磁気的な影響が消失し、超伝導転移が大きな圧力効果を示すものと考えられる。一方、LaFePO、LaNiXO(X=P, As)では母物質が超伝導を示すがその転移温度は数K程度と低い。LaFePOは1GPa程度で5Kから9Kへと上昇するがそれ以上の加圧で転移温度は低下する。また、LaNixO(X=P, As)の転移温度も圧力によって上昇するが1K程度の圧力効果しか示さないことがわかった。また、“122"系であるSrFe_2As_2においてもLaFeAsO同様に圧力誘起超伝導転移を示すことを明らかにした。さらに“11"系であるFeTe_<0.92>は20GPaまで超伝導を示さないが、1GPa付近から多段転移を示し、常圧も含め低温高圧相が3つの相が存在することがわかった。
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Research Products
(12 results)