2008 Fiscal Year Annual Research Report
超強磁場での陽子サイクロトロン吸収線を手掛かりにマグネターの正体を暴く
Project/Area Number |
20840046
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中川 友進 The Institute of Physical and Chemical Research, 牧島宇宙放射線研究室, 基礎科学特別研究員 (50513454)
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Keywords | マグネター / 中性子星 / 量子電磁力学 / 軟ガンマ線リピーク / 異常X線パルサー / パルサー / X線天文学 / 宇宙物理学 |
Research Abstract |
観測事実から我々の宇宙にはB〜10^<15>Gもの超強磁場を持つ中性子星「マグネター」が要求されている。ところが候補天体の発見から30年を経過しても直接的な証拠が無い。本研究の目的は日本のX線天文衛星「すざく」を用いたX線・γ線の観測的研究により、陽子サイクロトロン共鳴散乱による吸収線を発見し、マグネターの存在を直接的に証明する事である。これは世界初の大発見になるだけでなく、B>4.4×10^<13>Gでのみ可能な物理学の研究が現実となる「宇宙の超強磁場実験場」の開拓になる。 2008年8月22日に新候補天体(SGR 0501+4516)が発見され、私は即座に「すざく」衛星を用いた緊急観測を行った。観測中にバーストを検出し、スペクトルの約28keVに吸収線構造を見出した。起源が陽子のサイクロトロン共鳴散乱の基本波ならB〜4.5×10^<15>Gとなる。成果は即座に論文誌に掲載した。さらに2009年1月22日に候補天体であるAXP 1E 1547.0-5408が活発なバースト活動を示した(一日で約260個のバースト)。「すざく」衛星による緊急観測を行い、解析は現在進行中である。 さらなる研究を平成21年度に行うために二つの事前提案を行った。一つは活発なバースト活動期に行う観測であり、もう一つは静穏状態の系統的な観測である。これらの事前提案は現在審査中である。
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